ブリーダーが犬を交配・繁殖させるときの3つの知識

犬のブリーダーになるのならば、犬の交配や繁殖についての知識は欠かせないものになってきます。犬の交配や繁殖には適した年齢があるので、それ以外の時期に行うと遺伝病の有無が分からなことや母体に負担をかけることもあるので、気をつけなければなりません。

メス犬の発情や排卵、交配の基本パターンなどの基礎情報について紹介いたします。近親交配を起こさないように、充分に注意したいところです。ブリーダーが犬を交配・繁殖させるためにはすべて必要な情報になっていますので、しっかりとおさえていきましょう。

交配に最適な時期とは?

犬の交配に最適な時期とはいつ頃なのでしょうか。

出産するのに適した年齢は2~5歳くらい

犬種によっても異なりますが、メス犬に最初の発情が見られるのは、小型犬では7~9カ月、大型犬では1年以内とされています。オス犬の性の成熟はメス犬よりもやや遅いです。

発情を迎えたメス犬ならば交配や繁殖が可能になりますが、発情が初めてみられた年齢では、骨格形成がしっかりされておらず、胎児に栄養を摂られて母体の成長が阻害される可能性があります。

それに、まだまだ精神的にも発展途上であるので、初回の発情での交配や繁殖は避けた方が良いです。

小型犬や中型犬では1歳以上、大型犬では2歳以上が好ましいので、犬の出産に適した年齢は2~5歳くらいということになります。

1歳程度では遺伝病の保有の有無が分からない

メス犬が1歳程度で交配や繁殖を行うと、まだ遺伝病を持っているのかどうかがわからないので、避けた方がいいです。

昔から犬は「安産の守り神」ともいわておりますが、決して安易に考えてはいけません。品種改良を重ねてきた犬は、からだの割には頭が大きいものや、足の短いもの、胴が短いもの、小型犬などは難産になりやすいといわれております。

それに、メス犬が若すぎると骨盤の形成が不十分なので産道が狭くて、胎児が引っかかる、胎児の数が多すぎて母体が衰弱し、分娩が中断してしまう危険性もあるのです。

6歳を過ぎてからの出産は母体への負担が大きい

メス犬が6歳を過ぎてから出産すると、母体に多大なる負担を与えます。老化が始まっており筋力が衰えているので難産になりやすいので、避けるようにしましょう。

メス犬の発情と排卵

メス犬の発情と排卵はどのようにして起こるのでしょうか。

メス犬の発情周期は6~12ヶ月

メス犬の発情周期とは、犬が心身ともに交尾に対しての準備が整い、積極的に交尾を求めるサイクルのことです。発情期になると外陰部が肥大して出血が始まります。出血量が少ないと、犬がなめてしまい分からないこともあります。落ち着きがなく、おしっこを何度も少しずつします。

メス犬に発情兆候が始まると、そのニオイでオス犬が刺激されます。発情期の犬は交尾を求めるので、飼い主は充分注意をしなくてはなりません。庭につないでおいた犬が妊娠していた、公園で放していたらオス犬に交尾をされてしまったなんてこともよくあることです。

発情期は約90日間続き、休止期が90日間、また発情期が90日間というサイクルを繰り返していきます。ですので、発情周期は6カ月に1度で1年に2度やってくる計算になります。

発情による出血から9日目くらいに排卵

発情が始まると外陰部が肥大して出血します。8~9日目くらいになると発情前期と呼ばれ、排卵の準備が整うのです。ここから発情期に入ります。発情後、5~7日間が交配最適日とされており、90%程度の確率で妊娠をします。日を改めて2回交配させることで、妊娠率はさらに上がることになるのです。

交配してから1カ月前後経つと、超音波検査で妊娠が確認できるようになります。腹部が膨らんできて、触診でも分かるようになります。徐々に食事回数を増やして妊娠授乳期用フードを与えましょう。

妊娠55日以降は、毎日数回検温が必要です。出産間近になると、37度くらいに下がります。犬の直腸温は、安静時の平熱で38~39度です。

妊娠58~63日目に陣痛が始まります。メス犬は、排便体制をとって力んで出産します。生まれる仔犬の頭数は大きさによって異なります。小型犬種で2~4頭、中型犬種で5~6頭、大型犬種で8~10頭です。出産頭数が少ない血統の犬や、個体によって差があるのであくまでも目安です。

交配の基本パターン

交配の基本パターンにはどのようなものがあるのでしょうか。

ラインブリーディング(系統繁殖)

ラインブリーディングは、血縁関係の薄い犬同士を交配させることです。この方法で交配させると、インブリーディング(近親繁殖)のように奇形や弱体化など欠陥のある仔犬が生まれてくる可能性が低くなります。血筋は同じになるので、欠点を出さない組み合わせにすることが大切です。

アウトブリーディング(遠親繁殖)

アウトブリーディングは、系統も血縁的にも全く関係のない犬同士を交配して繁殖させる方法です。予想外の良い特質がでてくることが期待されます。うまくいけば、両親の長所だけを引き継いで生まれてくる場合があるのです。反対に短所ばかりを引き継ぐこともあるので、なかなか安定した性質の犬が生まれてこないのが現状です。

インターブリーディング(亜種繁殖)

インターブリーディングは、同じ品種の犬でも、毛質などの違う犬同士を交配することです。例えば、スムースダックスフントとロングヘア-ダックスフントを交配するといったような方法です。

繁殖時の注意点

犬を繁殖させるときの注意点はどのようなことがあるのでしょうか。

交配前に必ず獣医師の診断を受けること

犬の交配や繁殖を行うときには、慎重に行うべきです。まず、犬が交配可能かどうか、出産に対してどんなリスクがあるのかを、信頼できる獣医師に相談をして診断を受けるようにします。

短頭種といって頭が大きく顔が短い犬や、小型犬は難産になる傾向があります。帝王切開が必要になる場合も充分に考えておきましょう。

出産となると分娩のための産室の準備が必要で、仔犬が生まれればお世話は大変なものになります。仔犬にきちんとしつけをして社会に適応できるように育て、新たな飼い主に届けるまでには多くの時間と労力、お金がかかります。仔犬の確実なもらい手も確保しておかなければなりません。

インブリーディング(近親交配)に注意

犬の交配や繁殖をブリーダーが行う場合は、その系統のタイプや長所が続くように計画的に行うものです。無計画に交配や繁殖を行うと、インブリーディング(近親交配)が起きてしまう可能性があるのです。

飼っている犬がオス1匹、メス1匹の場合、このペアの仔犬が生まれるまでは良いのですが、その子ども同士の孫となると近親交配になってしまうのです。

近親交配をすると、奇形の仔犬が生まれる、繁殖能力の低下を起こすことがあります。これは「近交退化」と呼ばれるものです。同タイプの遺伝子が接合すると劣性になるので起こってしまうのです。

遺伝子が劣性になると遺伝病がでてきます。その結果、奇形、内臓や骨格の形成異常、繁殖能力の低下、免疫力の低下が起ってしまうので、気をつけなければなりません。

犬のブリーディングを行うのならば、交配や繁殖の知識をしっかりと身につけてから計画的に行う必要があるのです。

ブリーダーが犬を交配・繁殖させるときの3つの知識のまとめ

ブリーダーとして犬の交配や繁殖を行うのならば、知識や経験が必要です。事前に親犬の健康や遺伝的疾患を持ってないか確認してから行います。交配を行うのは、メス犬の2回目の発情期以降に行い、出産させるのならば5歳までです。

犬は最初の発情から半年ごと、1年に2回発情期を迎えます。近親交配を行うことが無いように、計画的に交配や繁殖を行います。生まれた仔犬の貰い手も必ず確保しておくようにしましょう。