刺繍糸の種類やメーカー別の違いについて

大きな手芸店があると、色々な刺繍糸が販売されていることに気が付きます。

小さな手芸店では、同じメーカーのものしかなく、色々あることを知らない、という人もいますね。100均でも販売しているため、100円ショップの刺繍糸で充分という人もいます。

しかし、実際に良い作品を作りたい、という人の中には良い刺繍糸を選択するのも大切ということも聞きます。

それでは、良い作品を作るために、刺繍糸の種類やメーカー別の違いや選び方についてご紹介しましょう。

刺繍糸の種類とポイント

刺繍糸には、色・量・メーカー・素材によって種類と特徴が異なります。

色は、見た目でも分かると思いますが、量や素材は手芸店と100均ではパット見ではわからないということもあります。それなら、安いもので良いという人もいます。

しかし、実際に使ってみると、安いものでは量が少なかったり、糸の素材が悪いということもあります。

番手

糸の量を表す言葉に番手、というものがあります。被服の専門学校や専門大学で、糸について初めに学ぶのが、この番手です。

番手というのは、糸の長さだけを表すのではなく、「量」そのものを表します。

1グラムあたりの長さを指す

番手は、糸1グラムあたりの長さを示します。なぜ重さなのか、というと糸は元々細い繊維を撚り合わせて1本の糸を作ります。この撚りが多いほど糸は太く重くなります。

しかし、撚りが少ないと細く軽くなります。そのため、長さだけでなく「番(番手)」という数字を表記しています。

数字が大きいほど細い

番手は1グラム当たりの長さになります。そのため、数が大きいほど「細い」糸になります。

25番手は1グラムで25mの長さがある、という意味になります。

一般的によく使われているのが25番と5番

刺繍糸でよくみられるのは、25番と5番になります。5番の糸は1本の太い糸で、刺し子やスウェーデン刺繍をする人が良く利用します。

一般的な手芸店や100円ショップで扱っているのは、6本で1束の25番が多くなります。

25番:6本で1束8m、2-3本を取って使う

25番の刺繍糸は8mの刺繍糸が6本で1束になっています。6本の糸を2~3本に分けて使います。細さを加減できるため、繊細で美術的な図柄を刺すときに利用します。

5番:1本の太い糸

5番の糸は1本の太い糸になります。細く分けることができないため、立体的な刺繍や刺繍した糸を強調したいはっきりとした図柄で使うと、とてもきれいに仕上がります。

色・艶

刺繍糸は色が豊富で、艶のあるものと、艶を消した和調のものがあります。刺繍糸はメーカーや色によって艶だけでなくしなやかさや、色あせ・色落ち・糸の強度と手触り・絡まりやすさなども違います。

メーカーによって異なる

色や艶はメーカーによって異なります。

刺繍糸を作っている代表的なメーカーでは、オリンパス、アンカー、DMC、コスモ、MEDEIRAなどがあります。

図案や布に合わせて配色を考える

同じ色でも、メーカーによってわずかな違いはあります。そこで、図案や布によって合わせて、好みのメーカーを見つけて、配色を考えましょう。

各メーカーでオリジナルの色もあれば、ほぼ同じ色もあります。

しかし、毛糸と同様に糸を染める窯によってわずかな違いが出ますので、できるだけ同じメーカーの同じ番号の糸をそろえましょう。

メタリックな糸は刺し方と保存に注意(絡まりやすくほつれやすい)

光沢を出すメタリックな糸は、華やかな刺繍をする時に利用します。メタリックカラーは子ども用の小物などにピッタリなポップなデザインや、コスプレ衣装などに利用します。

刺すときに絡まりやすくなり、さらにほつれやすいため利用する時は注意しましょう。

色あせ・色落ち

刺繍糸には、メーカーによって色あせや色落ちが違います。そこで、長く利用するもの頻繫に洗濯するものは色落ちしにくい刺繍糸を選びます。

一方、額縁に入れて飾る刺繍絵は、色あせしないものを選びましょう。

洗濯の頻度が高いものに刺繍する時は劣化しにくいものを選ぶ

ハンカチやレッスンバッグなど、子どもの小物に名前やワンポイントを刺繍してあげることがあります。

また、クッションカバーやベッドカバーは長く使用して、毎日というわけではありませんが、洗濯をすることがあります。

小物はコマメに洗濯をすることがあります。洗濯の頻度が高いため、刺繍する時は劣化しにくいものを選びましょう。

強度と手触り

繊維は、摩擦によって薄くなることがあります。しなやかで柔らかい糸は、摩擦強度が低く、逆に強い糸はごわつきや縫う時に引っ掛かる感じがあります。

しなやかな糸は柔らかい手触りだけど強度に不安

しなやかな糸は、撚りがあまく糸も上質なものを使っています。手触りやとても柔らかく縫いやすいのが特徴ですが、摩擦に弱く強度に不安があります。頻繫に洗濯をするものには向きません。

強い糸はごわつきや縫いにくさが出てくる

摩擦に強い糸は、引っ張りにも強く丈夫です。

しかし、化学繊維(ポリエステル)が利用されていることもあります。ミシン用の刺繍糸はポリエステル素材のものが多くあります。

あまり触れない作品(壁に飾る)か、普段使いか(ハンカチなど)で強度を考える

刺繍をする内容が、額縁などに入れてあまり触れない作品(壁に飾る)か、普段使いのもの(ハンカチや小物)なのか、によって強度を考えます。

頻繫に洗ったり触れるものは、丈夫な糸を使い、飾る目的のものは色が美しく、しなやかで刺しやすい糸を利用しましょう。

直接肌に触れる機会が多いものは特に注意をして選ぶ

ブラウスやスカートなどの衣類、ハンカチやベッドカバーなど直接肌に触れる機会が多いものに刺繍をすることもあります。こういったものの場合は、洗濯や摩擦に対する強度も必要ですが、肌ざわりも重要になります。

できるだけしなやかな柔らかい刺繍糸を利用したいですね。

メーカーによる刺繍糸の違いと特徴

刺繍糸はメーカーによって、しなやかさや光沢・色の種類・強度・艶などが違います。

DMC刺繍糸

1746年、フランス・アルザス地方ミュルーズ誕生のDMCは、270年もの歴史を持つ刺繍糸の世界的老舗メーカーです。200色以上の糸は、5番25mで1枷と25番8mで1束のものがあります。パールのような輝きを持つ、と高い評価を持つ刺繍糸です。

ウール素材と最高級エジプト綿の素材の刺繍糸があります。

ナポレオンの衣装も刺繍した、古くからの伝統を持つ美しい糸です。「1本の上質な糸から芸術作品は生まれる」という創業当時から続く言葉を大切に受け継いでいます。

人気はアースカラー34色がワンセットになったウール素材の刺繍糸セットです。素材がウールというのも珍しいですが、美しいアースカラーだけのセットは、額縁に入れて飾る風景画などの刺繍にピッタリです。

OLYMPUS刺繍糸

刺繍糸や毛糸の国内最大手メーカー「オリムパス製絲株式会社」の刺繍糸です。国内販売の中で最も一般的な刺繍糸というと、オリムパスの糸になります。

色のバリエーションは200色、綿100%で発色の良さが特徴です。25番、5番、ラメと種類も豊富で、ミックスカラーもあります。ラメカラーはポリエステルとレーヨンの混紡で15色、手毬や和風刺繍に最適です。

刺繍キットも多くあるため、初心者に一番使いやすい刺繍糸になります。

COSMO刺繍糸

COSMOの刺繍糸は希少性の高い超長綿をオリジナルブレンドで使用しています。5番手、25番手の刺繍糸は上質な光沢があり、刺繍の他にかぎ針編みにも使用できます。

DMC、アンカーにはない微妙な色の種類があり、和調の色遣いはオリムパスの刺繍糸よりもCOSMOというユーザーもいます。

アンカー刺繍糸

伝統ある刺繍糸、碇のマークが目印です。アンカーの刺繍糸は、5番、25番の他に8番もあります。綿、ウール、メタリックと素材の種類も豊富です。

特別なエジプト綿のストランテッドコットンは、上質な艶と滑らかさで古くから愛されています。色は300色以上毛羽立ちが少なくなめらかな肌ざわりが特徴です。

アンカーの綿の刺繍糸は洗濯機による洗濯が可能です。

刺繍糸メーカーを選ぶポイント

刺繍糸メーカーを選ぶポイントは、どんな絵を描きたいのか、どんなものに刺繍したいのかを考えることから始めます。

まずは図案指定のメーカーで買う

刺繍の図案がある場合は、図案指定のメーカーを利用するのが最も、本と同じ出来上がりになります。

図案を作っている刺繍デザイナーは、制作時に利用した糸のメーカーや色を指定していることもあります。同じものを選ぶのが一番間違いない、と思って良いでしょう。

指定がない場合は実際に見て好みの色合いを選ぶ

図案集や刺繍図案本に、色やメーカーの指定がない場合は、実際に実物の色を目で見て選びます。しかし、お店の灯によって、色が違って見えることもあります。

制作に必要な糸をできるだけ同じ時に揃えるようにしましょう。

メーカー品と100均の刺繍糸との違い

色々なものを扱っている100円ショップのお店では、刺繍糸も販売しています。

きしみやすく糸の目詰まりが多いことも

100円ショップの刺繍糸は、色も種類も豊富で、子ども用の絵本や小物づくりでは充分という人もいます。

8m12色で100円の100円ショップの刺繍糸は、メーカーの刺繍糸の10分の1以下の価格です。綿100%でメーカーの糸と大差ない、と思ってしまいますが糸の滑らかさや柔らかさ、発色が違ってきます。

また、針通りもあまりよくないため、大作を作るにはあまり向いていません。練習用には良いかもしれませんが、長く使うものや良い物を作るためには、100円ショップの刺繍糸は向きません。

試しや練習用には手軽でよい

100円ショップの刺繍糸は5~12色で100円と手軽です。そこで、試しや練習用、子どもの宿題など手軽に利用したいときに向いています。

刺繍糸の種類やメーカー別の違いについてのまとめ

刺繍糸は、種類やメーカー別の違いがあります。

刺繍糸にはたくさんの種類や色があり、刺繍画や小物づくり、衣服の刺繍など、作るものによって使い分けることができます。

初めは刺繍キットや図案集の本などを参考に、慣れたら自分にあった刺繍糸やメーカーを見つけて利用してみましょう。