華道の礼儀作法と生け花の基本を知って人に教えてあげよう!

礼儀作法というと古くさいイメージもありますが、どの時代でも人間関係に必要なのは、実は礼儀作法です。

挨拶をする、靴を揃える、人の目を見て話す、こういう気遣いは、ビジネスでも学校でも家庭でも人間関係を円滑にするために必要なことですよね。

それらは、すべて礼儀作法に当たります。

そういう気遣いがスムーズにできるのは、伝統芸能といわれる茶道や華道、書道、武道、日本舞踊、能などをずっと継承している日本文化のおかげかもしれません。

特に、花や枝の命を切り取って美を表現する華道は、自然の命と向き合える貴重な文化です。

ここでは、華道の礼儀作法と生け花の基本についてみていきます。

華道の礼儀作法

華道の礼儀作法は「花は人の心である」に集約されています。

「花は人の心である」

目の前にある花がすべて。花は生ける人の感情であり、美であり、表現なのです。

花を見て感じる感情、花をとおした美の追求、表現

花を見て感じる感情を花に託して表現するのが華道であって、花を通した美の追求や花を通した表現に敬意を払う意味で、

「花に一礼する」

「花を拝見する」

「花を生けた人に一礼する」

というのが華道の礼儀作法にあたります。

花を拝見するときの作法

華道の礼儀作法に従うと、花を拝見するときの作法がよくわかります。

  1. 床の間から畳一帖を隔てた位置に座って、花に向かって一礼します。
  2. 全体の構成、花材の取り合わせ、花器、花台までをよく拝見します。
  3. 花を生けた人へ感謝の一礼をします。

このような作法を繰り返すことで、修練や自己鍛錬がなされていくというのが日本の伝統文化、華道の考え方です。

自由花(じゆうか)の作法

花を拝見するときの作法は、書院造りの床の間に生けられた花に対しての作法です。

大正から昭和にかけて西洋の建築様式が発展するにつれて、床の間に置かれる花に代わり、玄関やテーブル、部屋のインテリアとして花が飾られるようになりました。

特に作法はない

これらの自由花には、特に作法はありません。

改まった席での礼儀として、生けた人に対して挨拶してから拝見

自由花には特に作法はありませんが、改まった席での礼儀として、生けた人に対して挨拶してから拝見するということが、華道の礼儀作法として存続しています。

華道の基本道具

華道をするうえでの基本道具には次のものがあります。

花ばさみ

花ばさみといってもいろいろな種類があります。

フラワーアレンジメントでよく使われるのがハンドソフトタイプです。持ち手部分が樹脂でできているので、すべりにくく手が痛くなりにくいタイプです。

生け花でよく使われるのは「和ばさみ」です。普通のはさみのように輪の部分に指を通すのではなく、持ち手部分を握ることで太い枝でも切れるはさみです。ステンレス製のものが多く、丈夫で長持ちです。

自由花を生ける時は、両方を使い分けるのもいいですね。はさみは華道では一番大切な道具です。自分が使いやすい、こだわりのはさみを見つけてください。

花器

平たい水盤や筒型のものを揃えておくと便利です。

最初から花器を揃えるのは難しいので、教室で貸してもらえる花器で練習して花器の種類がわかってから揃えていくのがいいでしょう。

剣山

剣山は大きさ、形、色、素材などの種類が多い道具です。とりあえずは、長方形と丸型の剣山を揃えておきましょう。

花材

生けやすい花材としては、ガーベラやひまわり、チューリップなど花屋さんで簡単に安く手に入って、誰でもわかりやすい花が向いています。

華道の流派と特徴

華道の流派は池坊から始まり、いまでは300以上もあるといわれています。そのなかでも主だったものとして、次の3つがあげられます。

三大流派

池坊、草月流、小原流を三大流派と呼んでいます。

池坊は最初の流派なので「流」という言葉はつきません。池坊流という使い方は間違いです。

池坊: 立花・生花・自由花の3通り

室町時代に成立した日本で最初の流派。立花(りっか)・生花(しょうか)・自由花(じゆうか)の3通りの型があります。

草月流: 基本立真型・基本傾真型を2本柱として、応用展開

1927年に流派が誕生した、一番新しい流派です。個性を重視する作風が特徴です。
基本立真型・基本傾真型を2本柱として応用展開しています。立真型は男性的で、傾真型は女性的です。華道という言葉を使わないのも草月流の特徴になっています。

小原流: 花意匠・瓶花・盛花・花舞の4通り

19世紀末、「盛花」という新しい型を創始して生まれたのが小原流です。水盤と剣山を使って生け花をするスタイルを作りだしたのも小原流です。

花意匠・瓶花・盛花・花舞の4通りの型があります。

生け花の骨組み

生け花の主役は花材です。さらに、花材のなかでも骨組みとして役割が与えられている花材を「役枝」と呼びます。

骨組み=役枝(やくし)

骨組みとなる花材のこと

組みとなる花材のことを役枝といって、「天」「地」「人」にあたる3つの役枝を使って表現していきます。

池坊や草月流では3つの役枝、小原流は2つの役枝で構成されます。

池坊: 真・副(そえ)・体

真・副(そえ)・体という役枝があり、「真」は一番高く作品の中心になるものです。池坊の3つの型のうち「生花」にあたる型を生ける時に役枝を使います。

草月流: 真・副・控(ひかえ)

真・副・控(ひかえ)という役枝があり、「真」を直立ぎみに生けるのが基本立真型、「真」を45度傾けるのが基本傾真型といわれています。

小原流: 主枝・客枝

小原流には主枝・客枝という2つの役枝があります。主枝を直立させる「たてるかたち」と、役枝を左右に広げる「かたむけるかたち」の2つの型があります。

役枝が3つの場合の生け方

池坊と草月流の場合です。

  1. 「真」は最も長さをとる
  2. 「真」→「副」→「体・控」の順番に生ける
  3. 池坊では上から見ると不等辺三角形に、手前から見ると奥側に「真」がくるように生けます。

草月流は基本の型を柱としてひろく応用させます。

役枝が2つの場合の生け方

「主枝」が最も長く、作品の中心かつ最も奥側に配置し、「客枝」は作品の中心かつ最も手前側に配置するのが基本の生け方です。

花材の季節感と取り合わせ

花材を組み合わせることを取り合わせといいます。

全流派に共通して、季節感と取り合わせは重要な要素

四季がある日本は、日本の伝統芸能である華道でも四季を表現します。花材は旬の花を使って、調和や色彩を考えながら花材を組み合わせます。

季節感

季節感は華道の重要な要素です。

その季節の旬の花材を使用する

華道は日本の四季をいつくしむものなので、その季節の旬の花材を使用します。

通年使用できる花材もある

通年使用できる花材も、旬の花材と組み合わせて作品に仕上げていきます。

1作品に取り合わせる花材

全体的な調和や色彩を考慮して選ぶ

花材を組み合わせる取り合わせには決まったルールはなく、全体的な調和や色彩を考慮して選び、自分のセンスで自由に生けていくことができます。

生け花の基本ルール

花と向き合うことが、花を鑑賞する華道のルールです。

花は鑑賞者の方に向ける

鑑賞者にみてもらうには、花を正面に置きます。

人工物を見せない

剣山が見えないように生ける

季節の花を生ける華道は、生きている花のみ使います。できるだけ人工的な道具もみせないのが基本です。

最も人工的な道具は剣山で、剣山が見えないように生けることも華道では大切です。

<大振りの葉や草ものなどを低い位置に配置>

大振りの葉や草ものなどを低い位置に配置して、剣山を隠すのもテクニックになります。

ワイヤーやフラワーテープなども

ワイヤーやフラワーテープなども、使う時は見えないように注意しましょう。

生け花を長持ちさせる方法

生け花は水が命です。水をいかに切らさないかが生け花を長持ちさせる方法になります。

水切り

根元を水の中に浸し、水中で斜めに切り落とす

水のなかで茎の先端を2,3cm切り落とすことが水切りです。水の吸い上げをよくする「水揚げ」の基本になるものです。

水を吸い上げる器官である導管を傷つけないように、根元を水の中に浸し、水中で斜めに切り落とします。

水切り後は空気に触れないようにして、ため水にひたす

水切り後は空気に触れないようにして、ため水にひたします。水切りは毎日するのが理想です。

水揚げ剤・活力剤を使う

花の水揚げをよくするのが水揚げ剤で、花を元気にするのが活力剤です。両方とも花を長持ちさせる延命剤とも呼ばれています。

水替え

花瓶のなかの水を清潔に保つために、水替えをしましょう。ぬめりをとって、花瓶の中も綺麗に洗います。

春から秋は3日に一度程度、冬場は1週間に一度ぐらいの頻度で水替えをおこないます。

直射日光、高温を避ける

直射日光や高温は、花から水分を奪います。直射日光のあたらない涼しいところに花を置きましょう。

生け花がうまくいかない時の対処法

今日は生け花がうまくいかない、という時は原因があります。

原因に対して対処法を覚えておくと、うまくいきます。

お花が動く、浮く

留めのテクニックを使う

お花が動いたり、浮いたりするのは、花器の内壁が留まりにくいのが原因です。留めのテクニックを使ってみましょう。

<折り留め、縦割り留めなど>
テクニックとしては、枝や茎を折り曲げて内壁に沿わす折り留め、竹串を根元に刺して内壁にひっかける縦割り留めなどがあります。

剣山にうまく挿せない

何度も刺し直しているうちに根元がやわらかくなる

剣山にうまく挿さらなくなったのは、何度も挿し直しているうちに根元がやわらかくなったことが原因です。

上達すると挿し直しはしなくなりますが、最初は、挿し直しも多いので剣山に挿しにくくなることも多いです。

根元を斜めに切り落とす

柔らかくなった根元を斜めに切り落とすことで、うまく挿せるようになります。

仕上がりの印象が重い

重心が低くなっている

仕上がりの印象が重いのは、重心が低くなっているからです。挿せば挿すほど花瓶に引き込まれていくので、重心が低くなってしまうのです。

重心が低くなっている

なるべく重心を上に散らすようにして、挿すたびに全体を持ち上げてチェックしましょう。

華道の礼儀作法と生け花の基本を知って人に教えてあげよう!のまとめ

華道の礼儀作法と生け花の基本をわかっていただけましたか。

花を生けることは誰でも簡単にできることですが、華道という長い歴史のなかで培ってきた礼儀作法や生け花の基本を知っておくと、花を生ける時も疎かにできなくなります。

「一礼して花を見て、最後に花を生けた人に一礼する」という華道の礼儀作法は、「人に挨拶して目を見て話をして、最後に挨拶してお別れする」という社会のルールとほとんど違いはありません。

華道をくわしく知れば知るほど、その深みがわかって、ますます華道が好きになるでしょう。